Facebook Twitter

【入門】マーケティングオートメーション(MA)とは?効果が出る活用例まで

マーケティングオートメーション(MA)をわかりやすく解説!基本的な仕組みから、CRM・SFAとの違い、ツールの選び方や活用例まで、初心者でもスムーズに理解できるようにまとめました。これからMAを導入したい企業担当者必見の入門ガイドです。

マーケティングオートメーション(MA)とは?基本の理解

マーケティングオートメーション(MA)
の役割と流れ

マーケティングオートメーション(MA)とは、見込み顧客(まだ購入はしていないが、興味を持っている人)へのアプローチを自動化し、効率よく商談につなげるためのツールです。

企業が売上を伸ばすには、できるだけ多くの商談を作ることが重要ですが、接触したすべての人がすぐに商談に進むわけではありません。多くの見込み顧客は、じっくり情報を集めて比較し、予算や時期が合ってからようやく動き出します。特に法人向けのビジネス(BtoB)では、商談までに数か月〜数年かかることも珍しくありません。

そこでMAの出番です。ツールを使えば、見込み顧客の情報を管理し、メール配信などで継続的に情報を届けることができます。そして、関心が高まってきたタイミングを見極めて、営業に引き継ぐことが可能になります。手作業でやると大変な作業を自動化することで、商談のチャンスを逃さず、効率よく成果につなげられるのがMAの大きな魅力です。

なお、MAはデジタルマーケティング全体の中で重要な役割を担う施策のひとつです。そもそも「デジタルマーケティングとは何か?」を整理しておきたい方は、以下のコラムもあわせてご覧ください。


なぜ今マーケティングオートメーション(MA)が必要とされるのか

顧客は自ら情報を集めて購入を決めるようになり、従来の営業手法だけでは対応しきれなくなっています。

加えて、競合の増加や業務の複雑化により、効率的なアプローチが求められるようになりました。

この章では、こうした背景の中でMAが必要とされる理由を解説していきます。

購買行動の変化

近年、顧客の購買行動が大きく変わっています。

以前は、営業から直接情報を得て購入を決めるのが一般的でした。

しかし今では、顧客はインターネットを活用し、自分で情報を集めて比較・検討するのが当たり前になっています。

その結果、営業と接触する前に購入を決めてしまうケースも多く、従来の営業方法では成果が出にくくなっています。

こうした変化に対応するために、顧客の行動データを活用できるMAが注目されています。

購買行動の変化

営業と接触する前に購買するケースが増加

企業を取り巻く環境の変化

企業を取り巻く状況も、大きく変わっています。

まず、同じような商品やサービスを提供する企業が増え、他社との差別化が重要になっています。

また、ウェブサイトのアクセス情報やSNSでの反応など、顧客に関するデータが大量に集まるようになり、それをどう活用するかが大きな課題となっています。

さらに、顧客一人ひとりに合った対応や、さまざまな方法での情報発信が求められるようになりました。たとえば、メールマガジンやSNS投稿、ウェブ広告、さらにはオンラインセミナーなど、複数のチャネルを通じて顧客とコミュニケーションを取ることが必要です。その結果、マーケティング担当者の負担が増し、効率的に対応する方法が求められています。

こうした変化に対応するために、MAのような仕組みが役立っているのです。

マーケティングオートメーション(MA)とCRM・SFAの違い

顧客との関係を深めたり、営業を効率よく進めたりするために、企業ではMAのほかにCRMやSFAといったツールも活用されます。これらは目的や使い方が異なるため、違いを知っておくことが大切です。

MA・SFA・CRM 
それぞれの領域イメージ

MAとCRMの違い

マーケティングオートメーション(MA)とCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)は、どちらも顧客にアプローチするためのツールですが、対象となる顧客の段階と目的が異なります。

MAは、「これから顧客になる可能性がある人(=見込み顧客)」に向けてアプローチするためのツールです。

たとえば、自社サイトで資料請求をした人に、自動でお礼メールを送ったり、閲覧ページの履歴から興味のある分野を分析して関連情報を配信したりすることで、少しずつ関心を高めてもらい、商談につなげていきます。

一方、CRMは、すでに商品やサービスを購入してくれた「既存顧客」との関係性を深めるための仕組みです。

たとえば、製品を購入した顧客に対して、一定期間後にメンテナンスの案内メールを送ったり、購入履歴をもとに最適なタイミングで関連商品を提案するなど、継続的な接点を作り、満足度やロイヤルティの向上を目指します。

まとめ

  • MAは、「見込み顧客を見つけ、育てて、商談につなげる」プロセスを支援
  • CRMは、「既存顧客との関係を深め、リピーター化する」ための仕組み

MAとSFAの違い

マーケティングオートメーション(MA)と営業支援システム(SFA)は、どちらも営業活動を支援するツールですが、役割には明確な違いがあります。

MAは、営業の前段階を担うツールです。

たとえば、自社の製品に興味を持ちそうな人に対して、自動で製品紹介や導入事例の記事などを配信し、少しずつ関心を高めてもらうことで、営業に渡す「見込み顧客」を育てます。

一方、SFA(セールスフォースオートメーション)は、営業担当者が実際に顧客と商談を進めていく段階で使うシステムです。

企業の営業部門が保有する情報をデータ化し、一元的に管理・分析することで、営業活動の効率化や生産性向上を目指します。

たとえば、ある顧客との打ち合わせ内容や次回訪問日をSFA上で管理すれば、上司やチーム全体と情報を共有できます。過去の提案履歴や顧客の反応も記録されているため、担当が変わってもスムーズな対応が可能になります。

まとめ

  • MAは「興味を持ってもらうまで」のプロセスを自動で支援
  • SFAは「商談から契約まで」のプロセスを効率化・可視化するシステム

マーケティングオートメーション(MA)ツールの具体的な機能

MAツールは、「見込み顧客を集める → 育てる → 成約につなげる」を自動で支援してくれる便利なツールです。

では、どんな機能があり、使うとどんなメリットがあるのでしょうか?

MAツールの役割と具体的な機能図

見込み顧客を獲得する機能(リードジェネレーション)

◎どんな機能?
まだ顧客になる前の人に、自社を知ってもらう機能。

◎使うとどうなる?
Webサイトや広告を通じて見込み顧客を集め、資料請求や問い合わせにつなげやすくなります。

◎具体的な機能例とメリット:

  • ポップアップ:サイトを見ている人に、タイミングよくクーポンや資料案内を表示し、問い合わせを増やせる。
  • リコメンド表示:見ているページに合わせて、興味を持ちそうな製品情報を自動で紹介できる。
  • プッシュ通知:サイト訪問後に通知を送って、再び訪問してもらいやすくなる。
  • ランディングページ/フォーム作成:資料請求などの専用ページを簡単に作れて、個人情報を集めやすい。
  • リターゲティング広告:一度サイトを見た人に、別のサイトでも広告を出して再訪問を促せる。

見込み顧客を管理する機能(リード管理)

◎どんな機能?
集めた顧客情報をまとめて整理・管理する機能。

◎使うとどうなる?
顧客の情報を自動で登録・整理でき、ターゲットごとに最適なアプローチができるようになります。

◎具体的な機能例とメリット:

  • 自動登録:資料請求した顧客の情報を自動でデータベースに追加し、手間を減らす。
  • セグメント機能:地域や興味などで顧客をグループ分けし、それぞれに合った情報(メールマガジン)を送れる。

見込み顧客を育てる機能(リードナーチャリング)

◎どんな機能?
購入を迷っている見込み顧客に、役立つ情報を定期的に届ける機能。

◎使うとどうなる?
自社への関心を高め、営業しやすい状態まで自動で育てられます。

◎具体的な機能例とメリット:

  • メール配信:興味に合わせたメールを自動で送り、関心をキープできる。
  • プッシュ通知:過去に接点があった顧客に通知を送り、再接触を促す。
  • セミナー案内:その人に合ったセミナー情報を自動で紹介し、購入意欲を高める。
  • シナリオ設計:顧客の行動や興味に応じて、「何を・いつ・どんな順番で届けるか」をあらかじめ設計し、最適なタイミングで適切な情報を届けられる。

見込み顧客の分類を行う機能(リードスコアリング/リードクオリフィケーション)

◎どんな機能?
見込み顧客の関心度を点数で見える化(Webサイトへのアクセス頻度や資料ダウンロード、問い合わせ履歴などに応じてスコアを設定)し、優先度をつける機能。

◎使うとどうなる?
営業担当は、より購入意欲が高い「今すぐ客」に効率よくアプローチできます。

◎具体的な機能例とメリット:

  • スコアリング機能:価格ページをよく見ている人などを高得点にし、営業が狙うべき顧客を明確にできる。
  • SFA連携:ホットリード(見込みが高い人)を営業部門に自動で引き渡し、すぐ営業開始できる。

マーケティングオートメーション(MA)おすすめのツール比較

この章では、主なMAツールである、「Account Engagement」と「HubSpot」、「Zoho CRM」といった3つのツールの特徴を紹介していきます。

ツール名 主な特徴 価格感(目安) おすすめの企業
Account
Engagement
(旧Pardot)
(Salesforce)
営業とマーケティングの連携を重視し、顧客の動きを細かくスコア化。Salesforceとの連携力が非常に高い。 高め
(数万円~)
BtoB企業・商談型ビジネス向け。営業と密接に連携したい中~大規模企業に。
HubSpot 無料から始められ、フォーム作成やメール配信、リード管理など基本的なMA機能が充実。全体的に操作がやさしく、初心者にも人気。 比較的安価
(無料プランあり、有料は数千円~)
小~中規模企業。これからマーケティングを始めたい企業や社内に専任がいない場合に。
Zoho CRM +
Marketing
Automation
CRM機能を中心に、マーケティング施策(メール配信、スコアリングなど)もカバー。無料プランもあり、必要な機能を選んで導入可能。 比較的安価
(数千円程度~、無料プランあり)
コストを抑えつつ、CRMとマーケティングを連携させたい中小企業に。

■ Account Engagement(旧Pardot/Salesforce)

Salesforce製のMAツールで、営業部門との連携を前提に設計されています。主な機能としては、

  • メール配信の自動化
  • 見込み顧客のスコアリング(行動に点数をつけて優先度を判断)
  • Webページ閲覧や資料ダウンロードの追跡
  • 見込み客のステータス管理(ホット・コールドなど)
  • リードナーチャリング(育成)用のシナリオ作成

などがあります。

たとえば、「資料を2回以上ダウンロードした顧客に、個別営業をかける」といった高度な対応が可能です。

価格は高めですが、「営業とマーケティングの情報をしっかりつなげたい」という企業には非常に相性が良いツールです。

■ HubSpot

無料で始められることから、MA初心者の企業にも人気の高いツールです。主な機能には、

  • 問い合わせ・資料請求フォームの作成
  • メールマーケティング(定期配信・ステップ配信)
  • 顧客データベースの自動管理
  • リードの行動トラッキング(ページ閲覧、リンククリックなど)
  • ポップアップ表示、CTA管理(ボタンの設置や効果測定を行う機能)

などがあります。

たとえば、サイトに来訪した見込み顧客に「今すぐ資料をダウンロード」ボタンを表示し、フォーム入力後に自動でメール配信をする、といった施策をすぐに始められます。

デザインや画面も直感的で、パソコン操作に慣れていない方でもスムーズに運用を始めやすい点が魅力です。

たとえば、サイトに来訪した見込み顧客に「今すぐ資料をダウンロード」ボタンを表示し、フォーム入力後に自動でメール配信をする、といった施策をすぐに始められます。

■ Zoho CRM + Marketing Automation

ZohoのCRM機能に加えて、マーケティング機能もセットで活用できるプランです。主な機能としては、

  • メールマーケティング(テンプレート付き)
  • Webトラッキング(どのページをいつ見たか)
  • スコアリングとタグ付け(顧客ごとに「興味がある内容」や「関心の高い商品ジャンル」などのラベルをつけて整理する機能)
  • SNS連携によるアクション自動化
  • シナリオベースのリード育成フロー作成(サイトの訪問や資料請求といった行動にあわせて、自動的に次のアクションーたとえばメール配信や営業通知-を設定できる仕組み)

などが含まれます。

たとえば、「特定ページを3回以上閲覧した人には、特別オファーを記載したメールを送信」といった細かい設定も可能。無料プランからスタートでき、成長に合わせて機能を拡張しやすいため、コストを抑えつつ、マーケティング施策を柔軟に運用したい中小企業におすすめです。

マーケティングオートメーション(MA)ツール導入のステップと手順

MAツールを導入するには、ただ契約して使い始めるだけでは成果は出ません。自社に合ったツールを選び、しっかりと準備し、チームで運用していくことが大切です。この章では、導入までの基本的な流れとポイントを紹介します。

自社にぴったりのマーケティングオートメーション(MA)ツールを選ぶコツ

自社に最適なMAツールを選ぶことは、マーケティング活動を成功させるために非常に重要です。ツール選定の際には、以下のポイントを考慮する必要があります。

ツールを選ぶコツ

  1. BtoB向け? BtoC向け?
  2. 課題を解決する機能があるか?
  3. 予算と会社の規模に合っているか?
  4. 自社で使いこなせるか?
  5. サポート体制はどうか?
  6. 似た会社の導入実績はあるか?

・BtoB向け?BtoC向け?

「企業向け(BtoB)」と「個人向け(BtoC)」では、使い方や必要な機能が異なります。たとえばBtoBなら、営業と連携しやすい機能が必要です。BtoCなら、お客様とのやり取りを自動化する機能が重視されます。

・自社の悩みを解決できる機能があるか?

MAツールにはさまざまな機能がありますが、重要なのは「自社の課題を解決するために必要な機能があるかどうか」です。たとえば、リード(見込み顧客)の獲得に課題がある場合は、ランディングページ(広告などから誘導する専用ページ)作成機能やフォーム(資料請求や問い合わせ用の入力欄)作成機能が充実しているツールを選ぶと効果的です。

・予算と会社の規模に合っているか?

高機能なツールは費用も高くなりがちです。大企業向けのものを中小企業が使いこなすのは難しいこともあるので、会社の規模と予算に合ったものを選びましょう。

・自社でちゃんと使いこなせるか?

ツールを導入しても、使う人がいなければ意味がありません。社内に使いこなせる人材や時間があるか、もしくは外部のサポートが必要かを事前に考えておきましょう。

・サポート体制はしっかりしているか?

はじめて使うツールでは、わからないことがたくさん出てきます。質問にすぐ答えてくれるサポートがあるか、有料か無料かなども確認しておきましょう。

・似た会社の導入実績があるか?

自社と同じ業種や規模の会社が使っているツールなら、実績もあるので安心です。事例をチェックして、どう使われているのかも参考になります。

導入までの具体的な流れ

MAツール導入は、以下のステップで進めるのが一般的です。

MAツール導入までの流れ

  1. 今の課題をはっきりさせる
  2. ツールを選ぶ
  3. 設計と準備をする
  4. 他部署と協力する
  5. 運用を始める

1.今の課題をはっきりさせる

「今どんなことで困っているのか」「どんな効果を期待しているのか」を整理しましょう。この時点で、MAツール以外の解決方法が見つかることもあります。

2.ツールを選ぶ

上で紹介したポイントをもとに、いくつかのツールを比較して、自社に合ったものを選びましょう。

3.設計と準備をする

MAツールを導入したら、次に「どのように活用していくか」を具体的に設計します。たとえば、見込み顧客の人物像(ペルソナ)や、購買までの流れ(カスタマージャーニー)を整理し、それに合わせたメールやコンテンツなどを準備していきます。

また、誰が、いつ、どのような作業を行うのかといった業務フローをあらかじめ決めておくことも重要です。これにより、チーム内の連携がスムーズになり、運用ミスを防ぐことができます。

4.他部署と協力する

マーケティング部門だけでなく、営業やカスタマーサポートなど他の部署とも連携しましょう。事前に「誰が何を担当するか」も決めておくとスムーズです。

5.運用を始める

準備が整ったら、いよいよツールを使い始めます。始めてからも定期的に効果を確認して、必要があれば改善していくことが大切です。

運用体制とチーム設計

MAツールをしっかり活用するには、社内に担当者やチームをつくるのが理想です。難しい場合は、マーケティング担当者が他の仕事と兼任しても構いません。

担当者やチームがいることで、ツールの使い方やコツを社内に蓄積でき、よりよい運用ができるようになります。

◎MAツール運用チームの主な役割

  • ツールの設定や日々の管理
  • 自動で情報を届ける仕組み(※「シナリオ」)の設計

    → たとえば「資料請求後に自動でお礼メールを送り、3日後に製品紹介を送る」といった一連の流れをあらかじめ設計することを「シナリオ設計」と呼びます。
  • メールやランディングページなどのコンテンツ作成
  • 顧客データの分析や施策の効果測定
  • 改善案の実行
  • 営業など他の部署との連携

MAツールの導入は手間がかかるように感じるかもしれません。しかし、計画的に準備して活用できれば、業務の効率アップや売上向上につながる強い味方になります。

マーケティングオートメーション(MA)のメリットとデメリット

マーケティングオートメーション(MA)は、業務の効率化や売上アップに役立つ一方で、使い方を誤ると成果が出にくいこともあります。ここでは、導入前に知っておきたいメリットとデメリットをまとめます。

メリット

マーケティングオートメーション(MA)とは、見込み客(=将来的に商品やサービスを買ってくれそうな人)との接点を増やし、商談や契約につなげるまでの流れを自動化・効率化できるツールです。

MAツールをうまく活用することで、次のようなメリットが得られます。

メリット

  1. マーケティング業務の効率化
  2. 新規顧客に頼らない営業活動が可能に
  3. 優先すべき見込み客を営業に引き渡せる
  4. 営業成果が安定する

・マーケティング業務の効率化

顧客リストの作成やメールの自動配信、営業への連絡など、これまで人が手作業で行っていたマーケティング業務を自動化できます。時間や手間を大幅に減らせるのが大きな魅力です。

新規顧客に頼らない営業活動が可能に

過去に接点があったけれど今は取引がない「休眠顧客」や、まだニーズがはっきりしていない「潜在顧客」に対しても、段階的に情報提供することで関心を高め、営業チャンスを生み出すことができます。

見込み客の取りこぼしを防ぐ

MAツールでは、見込み客が自社サイトでどんなページを見たかなどの行動履歴が分かります。それに応じて、最適なタイミングでアプローチすることができるため、商談のチャンスを逃しにくくなります。

・優先すべき見込み客を営業に引き渡せる

MAツールでは、見込み客の興味関心や行動から「買う可能性が高い人」を判別できます。そのため、営業チームは成約の見込みが高い人に集中して対応できます。

・営業の成果が安定する

MAツールを使えば、営業担当の経験やスキルに関係なく、一定の成果が出やすくなります。営業全体の効率や成果を底上げできるのも、大きなメリットです。

このように、MAツールはマーケティングと営業の両面で大きな助けになります。ただし、うまく活用するには、しっかりとした準備や運用体制が必要です。

デメリット

マーケティングオートメーション(MA)は便利なツールですが、導入の仕方を間違えると「思ったほど効果が出ない」「かえって手間が増えた」ということもあります。ここでは、よくある失敗例とその対策をご紹介します。

デメリット

  1. 機能が多すぎて使いこなせない
  2. 目標があいまいで、効果が見えない
  3. きちんと設計せずに始めてしまう
  4. 運用できる人材がいない
  5. すべてを自動化できると勘違いしてしまう
  6. 営業部門との連携が取れていない
  7. 顧客リストやコンテンツが足りない

・機能が多すぎて使いこなせない

MAツールは高機能なものが多く、操作が難しいこともあります。最初は、自社の知識やスキルに合ったシンプルなツールを選ぶのがおすすめです。

目標があいまいで、効果が見えない

「とりあえず導入してみた」というケースでは、効果を感じにくいです。導入前に「どのくらい成果を上げたいのか」「何を自動化したいのか」など、目的を明確にしておくことが大切です。

きちんと設計せずに始めてしまう

顧客像(ペルソナ)や購入までの流れ(カスタマージャーニー)を整理せずにツールを動かしても、うまくいきません。事前の準備が成果を左右します。

運用できる人材がいない

MAツールの運用には、ある程度のマーケティング知識が必要です。社内に詳しい人がいない場合は、研修を受けたり、外部パートナーにサポートを依頼する方法もあります。

すべてを自動化できると勘違いしてしまう

「MAを導入すれば全部自動で売れるようになる」と思われがちですが、実際には人の判断やサポートが必要な場面も多いです。あくまで“手助けするツール”として捉えましょう。

営業部門との連携が取れていない

マーケティングだけがMAを使っても、営業部門と協力できていなければ効果は出にくいです。部署をまたいだ連携が成功のカギです。

顧客リストやコンテンツが足りない

MAツールは、配信するメールや案内するページなどの「コンテンツ」があってこそ力を発揮します。ある程度の顧客データと、質の高い情報が必要です。

失敗を防ぐには、目的の明確化・準備・人材・社内連携がポイントです。

マーケティングオートメーション(MA)が向いているビジネスはどんなもの?

MAが活きるビジネス・活きにくいビジネスの対比画像

※MAは全てのビジネスに向いているわけではない

マーケティングオートメーション(MA)は、すべてのビジネスに合うわけではありません。特に効果を発揮するのは、「検討に時間がかかる商品」や「営業担当のフォローが必要なサービス」を扱っている企業です。

たとえば、法人向けのITシステムや高額な設備機器を販売しているBtoB企業では、商談に至るまでに多くの情報提供や段階的なアプローチが求められます。こうしたビジネスでは、見込み顧客の興味関心に応じて自動で情報を届けられるMAが非常に効果的です。

また、個人向けのビジネスであっても、住宅・保険・自動車のように、購入までに何度も説明が必要な商材にはMAが向いています。顧客の行動履歴をもとに、それぞれに合った情報を提供できるため、営業担当の業務を大きく助けてくれるからです。

一方で、日用品などすぐに購入される商品では、MAの効果は限定的です。MAが活きるのは「顧客と長く関係を築いていく」ビジネスです。導入前に、自社の商品や営業スタイルと本当に合っているかを見極めましょう。

マーケティングオートメーション(MA)の効果的な活用例

MAは、単に業務を自動化するツールではなく、「見込み顧客の育成」と「営業活動の効率化」を同時に実現できる強力な仕組みです。

ここでは、マーケティング部門と営業部門の連携を強化する方法と、MAの中核機能である「シナリオ作成」の活用例を紹介します。

マーケティング部門と営業部門の連携具体例

マーケティングオートメーション(MA)を導入することで、マーケティング部門と営業部門の連携が格段にスムーズになります。特に、見込み顧客の行動や興味関心を「見える化」することが、大きな強みです。

たとえば、住宅メーカーでの資料請求を例に考えてみましょう。

  • Aさんは、不動産情報サイトでいくつかの住宅メーカーを比較しながら一括資料請求。
  • Bさんは、住宅メーカーの公式サイトで施工事例ページや機能性の説明をじっくり読み込んだうえで、資料請求に至る。

この2つのケースでは、見込み顧客の「熱量」や検討段階に違いがあることが想像できます。Aさんはまだ比較検討中の可能性が高く、Bさんはすでにその住宅メーカーに対して具体的な関心を持っている段階かもしれません。

MAを活用すれば、こうした行動履歴を把握し、どのページを経由してきたのか、どんな情報に関心があったのかといったデータを営業担当と共有できます。すると、営業側も相手の関心度に応じた説明や提案ができ、よりスムーズな商談につながります。

さらに、MAと営業支援システム(SFA)を連携させれば、「どの広告やページが、最終的に受注につながっているか」といった情報も分析できます。たとえば、施工事例ページから機能性(耐震性や耐久性など)の紹介ページを経て見学会の申し込みに至った経路での受注率が高い場合、その流れを強化したり、途中に見学会のポップアップを設定したりするなど、受注に繋がる導線を最適化する施策が可能になります。

MA+SFA連携で実現できること

  1. 興味の高い顧客に絞って営業できる
  2. 受注につながる導線を分析・改善できる
  3. マーケと営業が連携して契約率アップ!

CVで終わらせず、“契約”につなげるための仕組みをMAが後押し!

このような取り組みによって得られる主なメリットは以下のとおりです。

  • 見込み顧客の興味や行動履歴を管理・共有できるため、営業活動がスムーズに進む
  • MAとSFAを効果的に連携すれば、受注につながりやすい導線が明確になり、改善にも活用できる

営業部門とマーケティング部門が一体となってデータを活用することで、単なるCV(資料請求や問い合わせ)に終わらせず、「契約につながる」施策を組み立てていくことができるのです。

シナリオ作成の例

マーケティングオートメーション(MA)の大きな特徴のひとつが、「シナリオ作成」機能です。これは、見込み顧客の行動や興味に合わせて、最適なタイミングで最適な情報を自動で届ける仕組みです。

たとえば、以下のようなシナリオが考えられます。

  • 特定のページを複数回見た人に、より詳しい資料の案内メールを送る
  • セミナー参加後に、お礼メールと関連資料のリンクを送る
  • 商品を購入しなかった人に、関連商品のキャンペーン情報を送る

こうした流れをあらかじめ設定しておくことで、個別対応のようなきめ細かい情報提供が自動で行えるようになります。

顧客の行動にあわせて、
自動で反応!

  • 特定ページを複数回閲覧
    詳しい資料の案内メールを送信
  • セミナー参加
    お礼メール+関連資料リンク
  • 購入しなかった
    関連商品のキャンペーン情報を配信

ただし、シナリオは複雑すぎると運用や改善が難しくなります。最初は「ある行動をきっかけに自動で対応する」というトリガーモデルを中心にシンプルな設計で始め、データが蓄積されてからスコアリングモデル(ユーザーの行動や属性に点数をつけて、その合計で関心度を判断する方法)へ発展させるとスムーズです。

MAのシナリオをうまく活用するためのポイントは以下の通りです。

  • 顧客の行動やニーズをよく理解し、シンプルな流れから始める
  • シナリオの効果を測定し、定期的に見直す

MAのシナリオ作成を上手に活用すれば、自動で顧客を育成する「仕組み」を作ることができ、営業への引き渡しもよりスムーズになります。

まとめ

マーケティングオートメーション(MA)は、見込み顧客の獲得から育成、営業へのスムーズな引き継ぎまでを支援し、効率的かつ成果につながるマーケティングを実現する強力なツールです。

ただし、導入や活用にあたっては、自社の目的や課題に合わせた設計と運用が欠かせません。

フォスターでは、お客様との対話を通じて「目的」を丁寧にヒアリングし、課題に応じた最適なマーケティング施策をご提案しています。施策を実行して終わりではなく、効果を検証しながら改善を重ねていくことを大切にしています。

MAの導入や活用でお悩みの際は、どうぞお気軽にフォスターまでご相談ください。

コラム一覧

FOSTOR制作実績