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「デジタルマーケティングとは?中小企業の売上アップ戦略」

デジタルマーケティングの導入や改善を考えている企業のマーケ担当・経営者の方へ。初心者でも理解できるように、導入のメリットや手法、成功事例まで優しく解説。中小企業にも実践できる内容で、ビジネス成功への第一歩をサポートします。

目次

デジタルマーケティングとは?初心者でもわかる基礎知識

インターネットやスマートフォンの普及により、消費者の行動は大きく変化しました。それに対応するため、企業の「売る仕組み」も変わってきています。その中核を担うのが「デジタルマーケティング」です。

本記事では、デジタルマーケティングの基本的な考え方やメリット・デメリットを、初心者の方にもわかりやすく解説します。

デジタルマーケティングの定義とその役割 

  • 中小企業のマーケティング課題

    • 予算が限られている
    • 人手不足
  • デジタルマーケの強み

    • 低コストで始められる
    • 自動化・効率化が可能

デジタルマーケティングとは、インターネットやデジタル技術を活用して、商品やサービスの認知を広げたり、購買につなげたりする一連の活動を指します。具体的には、Webサイト、SNS、メール、アプリ、Web広告などがその主な手段です。

従来のチラシやテレビCMなどとは異なり、デジタル上では「誰に」「どんな行動を」「どのくらいしてもらえたか」を細かく把握できます。つまり、効果を“見える化”できるのが大きな特長です。

デジタルマーケティング導入のメリット

デジタルマーケティングを導入すると、従来の紙媒体やテレビCMなどの手法では難しかった「正確な測定」や「効率的なアプローチ」が可能になります。ここでは、代表的な5つのメリットをご紹介します。

数字をもとに、より確かな判断ができる(データドリブン)

 「データドリブン」とは、勘や経験ではなく、集めた数字(データ)に基づいて判断や行動をすることを意味します。

たとえば、Webサイトを訪れた人の数や、どのページがよく見られているか、どこで離脱したかなど、デジタルマーケティングではさまざまな行動データを細かくチェックできます。

これらの情報をもとに、「どの広告が反応がよかったか」「どんなページが売上につながったか」といった分析ができ、無駄を省いて、より効果的な対策が打てるようになります。つまり、数字を根拠にした“正しい方向”の判断がしやすくなるのが、デジタルの強みです。

  • A/Bテスト:異なるデザインや文章の広告を試して、どちらがより反応がよかったかを比べることができます。
  • 顧客分析:年齢や性別、興味・関心などを知ることで、「この商品はどんな人に刺さるのか?」が見えてきます。それによって、よりその人に合ったメッセージを届けることができます。

「届けたい人」にしっかり届く広告ができる(ターゲティングの精度向上)

デジタルマーケティングでは、ネット上でのユーザーの行動(たとえば、どんなページを見たか、どんな商品を検索したかなど)をもとに、「どんな人に広告を見せるか」を細かく設定することができます。

たとえば、あなたの商品に興味を持ちそうな人だけに広告を表示できるので、広告費を無駄にせず、少ないコストで大きな効果を狙うことができます。これは、テレビCMのように不特定多数に広く知らせる方法とは大きく違う、デジタルならではの強みです。

  • リターゲティング広告:一度あなたのホームページを見た人に、あとから別のサイトやSNS上で再び広告を表示。買い忘れていた人の背中を押す効果があります。
  • 興味関心ベースの広告:たとえば「ゴルフクラブ」と検索した人に、ゴルフ用品の広告を表示するなど、相手の関心に合わせたアプローチが可能です。

お客様の反応にすぐ対応できる(スピード感・リアルタイム性)

デジタルマーケティングの大きなメリットのひとつが、「すばやい対応」ができることです。
たとえば、広告を出したあとにすぐに「どれくらい見られたか」「何人がクリックしたか」といった反応を確認できます。その結果を見て、うまくいっていない広告はすぐに改善したり、効果の高いものに予算を集中させたりと、その場で軌道修正できるのが強みです。

これにより、無駄な広告費を減らしながら、タイミングを逃さずお客様にアプローチできます。

  • キャンペーン中に結果を見ながら改善:ある商品の広告を出してみて、反応が少なければ写真やキャッチコピーを変更。結果を見ながら調整できるので、どんどん効果を高めていけます。
  • タイムセールやイベントに即対応:SNSやメール配信などで、今すぐ伝えたい情報をリアルタイムで発信。スピード重視の施策にも対応できます。

より多くのお客様に届けられる

デジタルマーケティングでは、インターネットやスマートフォンなどを使って、たくさんの人に情報を届けることができます。テレビやチラシなどの従来の方法と違い、場所や時間にしばられず、全国、さらには海外のお客様にもアプローチできるのが大きな特徴です。

しかも、一つの方法だけでなく、「検索エンジン(Google, Yahoo!など)」「SNS」「メール」など、いろいろな手段(チャネル)を組み合わせて使えるので、自社の商品やサービスを幅広い層に知ってもらうことが可能になります。

  • SEO(検索エンジン最適化):Googleなどで検索されたときに、自社のホームページが上位に出るよう工夫することで、自然と多くの人に見てもらえます。
  • SNS広告:InstagramやX(旧Twitter)などのSNSを使って、年代や興味に合わせた広告を配信できます。特定の地域や属性に絞って発信することもできるので、効率的です。

オムニチャンネルでお客様の満足度アップ

「オムニチャンネル」とは、お客様との接点をいくつも用意して、どこからでもスムーズに商品やサービスを利用できるようにする考え方です。たとえば、お客様が「パソコンで調べて、スマホで注文して、実店舗で受け取る」といった行動をとっても、違和感なくサービスがつながっている状態を指します。

デジタルマーケティングを活用すれば、オンライン(ホームページやSNS)とオフライン(店舗やイベント)を連携させて、一貫したお客様体験を提供することができます。その結果、お客様の満足度が高まり、リピートやファン化にもつながります。

  • ネット注文+店舗受け取り(クリック&コレクト):ECサイトで商品を注文し、近くの店舗で受け取れるようにすることで、便利さと安心感を両立。
  • 購入履歴に基づくレコメンド機能:ネットで購入した商品をもとに、メールやアプリで「あなたにおすすめ」の商品を紹介するなど、パーソナルな提案が可能に。

デジタルマーケティング導入のデメリット

デジタルマーケティングは多くのメリットがありますが、導入や運用にあたっては注意すべきポイントもあります。ここでは、企業の担当者として知っておきたい主な「デメリット」について解説します。

専門知識が必要

デジタルマーケティングには、広告の運用、SEO(検索エンジン対策)、アクセス解析、SNSの活用など、さまざまな分野があります。

そのため、すべてを社内の担当者だけでカバーしようとすると、専門知識やスキルが必要になり、負担が大きくなることもあります。

特に導入初期は、「何から始めればいいのか」「ツールの使い方がわからない」といった壁にぶつかることも多いでしょう。そのような場合は、外部の専門家に相談したり、運用を一部委託したりする方法も検討すると安心です。

情報漏洩やサイバー攻撃のリスクがある

デジタルの世界では、お客様の個人情報や取引データなど、大切な情報を扱う機会が増えるため、セキュリティの対策も欠かせません。

たとえば、パスワード管理の甘さや、ウイルス対策が不十分なまま運用してしまうと、万が一の情報漏洩やサイバー攻撃にさらされるリスクがあります。信頼を失うだけでなく、法的なトラブルに発展する可能性もあるため、セキュリティ体制を整えることは重要なポイントです。

特に中小企業では対策が後回しになりがちなので、「必要最低限の安全対策は何か?」を事前に整理してから導入に進むのがおすすめです。

デジタルマーケティングとWebマーケティングの違い

Webマーケティングは、デジタルマーケティングの一部です

Webマーケティングは、デジタルマーケティングの一部です

「デジタルマーケティング」と「Webマーケティング」は、似たような言葉ですが、実はカバーする範囲に違いがあります。

Webマーケティングは、その名の通り「インターネット上」で行うマーケティング活動のことです。たとえば、Web広告、SNS、SEO対策、ブログなどが該当します。

一方、デジタルマーケティングは、Webマーケティングに加えて、アプリ、メール、デジタルサイネージ(電子看板)、IoT機器、AIを使った分析など、Webに限らず、あらゆるデジタル技術を活用したマーケティング全体を指します。

つまり、デジタルマーケティングは、Webマーケティングを含む、より広い意味を持つマーケティング手法なのです。

なぜデジタルマーケティングが重要なのか

ビジネス環境が大きく変化する中で、従来のマーケティング手法だけではお客様のニーズに十分に応えられない時代になっています。特に、AIの普及や人材不足といった社会の変化に対応するには、デジタルマーケティングの導入が不可欠です。

AI時代による購買行動の複雑化に対応するために

インターネットやスマートフォンの普及により、消費者の購買行動は非常に多様化・複雑化しています。商品を知るきっかけも、SNSやレビューサイト、YouTube動画など様々です。

さらに最近では、AIを活用したレコメンドやチャットボットなど、購入までのプロセスもスピードアップ・自動化が進んでいます。こうした新しい行動に対応するには、リアルタイムで顧客の動きを把握し、適切なタイミングで情報を届ける必要があります。

デジタルマーケティングなら、ユーザーの興味関心や行動履歴をもとに、パーソナライズされた施策を打つことができるため、複雑な購買行動にも柔軟に対応できます。

人材不足を補い、効率化を推進するために

多くの企業で、スタッフの数が足りないという悩みを抱えています。少ない人数で、営業や広報、顧客対応など様々な仕事をこなさなければならない状況では、できるだけ無駄を省き、仕事をスムーズに進めることが大切です。

デジタルマーケティングでは、たとえば見込み客へのメール配信を自動で行ったり、お客様の行動をもとに優先的にアプローチする相手を判断したりすることができます。これにより、一人ひとりが抱える作業の負担を減らしながら、効果的なマーケティングを実現できます。

つまり、デジタルマーケティングは「人手に頼る」マーケティングから、「仕組みで回す」マーケティングへと進化する手助けをしてくれるのです。

デジタルマーケティングの主な手法とその効果

デジタルマーケティングには、目的に応じたさまざまな手法があります。たとえば「検索で見つけてもらう」「SNSで認知を広げる」「メールで定期的に情報を届ける」など、やり方によって届く相手も効果も変わってきます。

ここでは、代表的な方法とその特徴・効果について、初心者の方にもわかりやすく紹介します。自社に合った手法を見つけるヒントにしてください。

Webマーケティング

先ほども少し触れましたが、Webマーケティングはデジタルマーケティングの一部で、インターネットを使った取り組みのことを指します。ここでは、よく使われている代表的な方法をわかりやすくご紹介します。

Webサイト運用

現在、ほとんどの企業がWebサイトを持っていると言えるくらい、Webサイトはビジネスにとって欠かせない存在です。Webサイトの運用方法は、サイトの種類や目的によって異なります。例えば、ECサイトの場合は「購入」がゴールであり、サービスサイトでは「資料請求」や「お問い合わせ」が目指すゴールとなります。コーポレートサイトの場合は、ブランドの認知度を高めたり、信頼を築いたりすることがゴールになります。

しかし、どんなタイプのWebサイトでも共通して言えることは、作ったまま放置してしまうと、効果が得られないということです。Web担当者を決めて、しっかりと運用していくことが大切です。また、WebサイトはWeb広告やSNS、メールマーケティングなどのオンライン施策や、展示会やセミナーなどのオフライン施策とも連携し、デジタルマーケティング全体の中心的な役割を果たします。

効果

顧客が商品やサービスをよりよく理解でき、購買や問い合わせへとつながりやすくなります。

SEO対策

SEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)とは、Googleなどの検索エンジンで、自分のWebサイトやコンテンツが上位に表示されるように工夫することです。検索結果で上位に表示されると、より多くの人が自分のサイトを訪れてくれるようになります。

具体的には、サイト内で使うキーワードを選んだり、ページのタイトルや説明文を最適化したり、コンテンツの質を高めたり、他のサイトからリンクをもらうことなどがSEO対策になります。これらの工夫をすることで、検索エンジンでの順位が上がり、アクセス数が増えることを目指します。

効果

検索エンジンからのアクセスが増え、ブランドの認知度も高まります。

コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングは、ブログ記事や動画、ホワイトペーパー(業界の課題や解決策をまとめた資料)など、役立つ情報を提供することで、見込み客と良い関係を築いていく方法です。自社のWebサイトにこれらのコンテンツを集めることで、SEO対策にもなり、検索結果の上位に表示されやすくなります。また、一度作成したコンテンツは繰り返し活用でき、会社の資産として価値を持ち続けます。

さらに、役立つ情報を提供することで、見込み客が自社に信頼を持ち、ファンになっていくことにもつながります。これは、デジタルマーケティングの中でも非常に大切な施策です。

効果

ターゲット層へのアプローチが広がり、ブランドへの信頼感が高まります。

Web広告

Web広告は、インターネット上に出す広告のことです。おもな種類には以下があります。

  • リスティング広告:検索エンジンでキーワードを入力したときに、その内容に関連した広告が検索結果の上や下などに表示される。ユーザーの関心に合った広告を見せられるのが特徴です。 
  • SNS広告:FacebookやInstagramなどで表示される広告。年齢や興味に合わせて配信できます。
  • ディスプレイ広告:バナー画像や動画をWebサイトに表示する広告。目につきやすいのが特徴です。
  • リターゲティング広告:以前サイトに来た人に、もう一度広告を表示する方法です。
  • アフィリエイト広告:他のサイトで紹介してもらい、成果に応じて費用が発生する広告です。

効果

狙った相手に効率よくアプローチでき、商品やサービスの認知拡大に役立ちます。

SNSマーケティング

SNSマーケティングとは、InstagramやX(旧Twitter)などのソーシャルメディアを使って、お店や会社の商品・サービスを知ってもらったり、興味をもってもらったりする取り組みです。

SNSでは、企業が直接お客さんとやりとりできるため、今どんなことに関心があるのかをすぐに知ることができます。また、今まで接点がなかった人にも、自社の情報を広く届けることができます。

SNSでの情報は口コミのように受け止められやすく、公式サイトよりもリアルな情報として信頼されることもあります。最近は若い世代だけでなく、年配の方にもSNSの利用が広がっていて、今では多くの企業にとって欠かせないマーケティング手法となっています。

効果

お店や会社のイメージアップ、新しいお客さんを増やすきっかけになります。

動画マーケティング

動画マーケティングとは、動画を使って商品やサービスの魅力を伝える方法です。たとえば、YouTubeで使い方を紹介したり、会社の紹介動画を出したりします。

スマートフォンやSNSで気軽に見られるため、多くの人に届けやすく、文章だけでは伝わりにくいポイントも、わかりやすく説明できます。動画の反応(再生回数や視聴者の傾向)を見て改善していくのも大切です。

効果

見た人の興味を引きやすく、商品の理解や購入につながりやすいです。

 Eメールマーケティング

Eメールマーケティングとは、メールを使ってお客様にアプローチする方法です。例えば、メールマガジン(メルマガ)を送ることがその一例です。

最近では、システムを活用することで、顧客に合わせてメールの内容や送るタイミングを最適に調整できるようになっています。この方法は、新しく興味を持っているお客様や、すでに購入したお客様に対してのフォローに特に有効です。

効果

お客様の購入意欲を高め、繰り返し購入してもらいやすくなります。

マーケティングオートメーション(MA

マーケティングオートメーション(MA)とは、顧客を獲得するためのマーケティング活動を見える化して、自動化する仕組みです。例えば、MAツールを使うと、Webサイトで顧客がどのページを見たか、どれくらいの時間を過ごしたか、どんな内容に興味を持ったかがわかります。

これにより、見込み顧客がどんな情報を欲しがっているかがわかり、その人にピッタリの情報をタイミングよく届けられるようになります。また、顧客の行動に応じて「スコア」をつけ、その結果を基に特に興味がありそうな顧客をリスト化できます。このリストを営業チームに渡すことで、効率的に営業ができます。

さらに、MAツールには顧客の状態に合わせてメールを自動で送る機能もあり、企業に合ったマーケティング活動を自動化できるのが特徴です。

効果

営業活動を効率化し、成約の確率を高めます。

アプリマーケティング

スマートフォンやタブレットで使えるアプリを作って、お客さまとアプリを通じてつながる方法です。たとえば、アプリを使ってセール情報を届けたり、アプリ限定のクーポンを配ったりすることで、商品の購入やサービスの利用を促します。

効果

アプリの利用が増え、お客さまに長く使ってもらえるようになります。

IoT活用(モノのインターネットを使ったマーケティング)

IoT(アイオーティー)とは、家電や自動車、機械など「モノ」がインターネットにつながり、情報を送ったり受け取ったりする仕組みのことです。この技術を使えば、お客さまの使い方に合わせて便利な情報を届けることができます。

たとえば、工場の機械にセンサーを取り付けて、温度や振動などをリアルタイムで記録すれば、「そろそろ故障しそうだな」というタイミングがわかるようになります。すると、そのタイミングに合わせて「点検のご案内」や「部品交換のお知らせ」を送ることができるのです。

また、設備の使い方や稼働状況をもとに、次に必要になりそうな商品やサービスを予測して提案することもできます。こうした取り組みによって、より効率的に顧客とつながることが可能になります。

効果

顧客体験の向上、新しい商品やサービスの開発にもつながります。

AI活用で進化するデジタルマーケティング

AI活用で、
マーケティングはこう変わる!

デジタルマーケティングでは、インターネットを通じて集めた「お客様の行動や好み」のデータを活用します。しかし、その情報はとても多くて複雑なため、人だけでは整理や分析が大変です。そこで役立つのが「AI(人工知能)」です。

AIを使えば、お客様の行動を分析して「今どんなことを考えているか」「どんな商品に興味があるか」を予測することができます。たとえば、ネットショップで「あなたにおすすめの商品」と表示される仕組みも、AIが活用されている一例です。お客様の過去の購入履歴や閲覧履歴をもとに、その人に合いそうな商品を自動で紹介しています。また、ホームページ上での質問にチャット形式で答えてくれる「チャットボット」もAIのひとつ。営業時間外でも、問い合わせに対して自動で適切な回答を返すことができます。

デジタルマーケティング戦略のポイント

デジタルマーケティングでは、ただやみくもに宣伝をしてもうまくいきません。大切なのは、「どんな人に伝えたいのか」「その人が何を求めているのか」を考えたうえで、計画を立てることです。

そのためには、次のようなポイントを意識しながら、戦略を組み立てていく必要があります。

目的の明確化

「デジタルマーケティングを取り入れること」自体が目的にならないよう注意しましょう。たとえば「新商品の認知を広げたい」だけでなく、「3か月以内にWeb経由の資料請求を100件獲得したい」「来月のキャンペーンでECサイトの売上を前月比20%アップさせたい」といった、期間や数値を明確にした目標を設定することが成功の第一歩です。

「2年後にブランド認知を高めたい」のか、「2か月以内に問い合わせ件数を増やしたい」のかによって、取るべき施策は大きく異なります。前者ならSEOやコンテンツ発信など中長期的な取り組みが必要ですが、後者であればWeb広告やキャンペーン施策など、短期間で効果が見込める手法を優先する必要があります。

このように、目的を明確にすることで、どんな手法を選ぶべきか・どんなスケジュールで進めるべきかといった“対策の方向性”が自然と見えてくるのです。

ターゲットユーザーの理解

次に、「どんな人に向けて発信するのか」を考えましょう。年齢、性別、興味、行動などをしっかり把握することで、相手に響く情報を届けられるようになります。

ターゲットの例
(業務用空調システムの導入検討企業)

人物

  • 名前:佐藤 健一(42歳)
  • 役職:総務部・施設管理担当マネージャー
  • 勤務先:食品加工工場(従業員数約100名)
  • 業界:製造業(食品関連)
  • 所在地:埼玉県内の郊外工業団地
  • 主な悩み

    • 工場内の温湿度管理が不安定で、製品品質に影響が出ることがある
    • 既存の空調設備が老朽化しており、光熱費がかさんでいる
    • 補助金の活用や省エネ効果を意識した設備更新を検討中
  • 情報収集方法

    • Googleで「工場 空調リニューアル」「省エネ空調 補助金」などを検索
    • 同業他社の事例紹介やメーカーの公式サイトをチェック
    • 展示会や業界紙を通じて新しい技術動向を確認
  • 重視するポイント

    • コスト削減につながる省エネ性能
    • 導入後のサポート体制(保守点検・故障対応など)
    • 工場の特殊環境に対応できる柔軟な設計提案

カスタマージャーニーマップの作成

お客様が商品を知ってから購入に至るまで、どんな行動をとり、どんな気持ちで進んでいくのかを整理・分析することが大切です。その流れを図にまとめたものが「カスタマージャーニーマップ」です。これを使うことで、「いつ、どこで、どんな情報を届ければ効果的か」が見えてきます。

カスタマージャーニーマップ例
(製品:業務用空調システム)

想定顧客業務用空調システムの導入を検討する企業の購買担当者

KPIの設定

KPIとは、目標に向かってちゃんと進んでいるかを測るための「数値目標」のことです。たとえば「Webサイトの訪問数を月1,000件にする」など、具体的な数字で決めると効果がチェックしやすくなります。

適切な手法の選択

SNS、Web広告、メールなど、デジタルマーケティングの手法はさまざまです。目的やターゲットに合わせて、いちばん効果的な方法を選ぶことが大切です。

データ分析

発信した内容にどれくらい反応があったのか、どんな人が見てくれたのかなど、集まったデータをチェックしましょう。分析することで、次にどう改善すればよいかが見えてきます。

PDCAサイクル

「計画(Plan)→ 実行(Do)→ チェック(Check)→ 改善(Act)」を繰り返すことで、どんどん良い結果につなげていけます。これを「PDCAサイクル」と呼びます。デジタルマーケティングでは、常にデータを見ながらこのサイクルを回すことが、成果を上げるための重要な考え方です。

トレンドの把握

デジタルの世界は変化が速いので、最新の流行やユーザーの行動の変化にも気を配りましょう。時代に合った発信をすることで、より多くの人に届きやすくなります。

これらのポイントを踏まえ、自社の課題や状況に合ったやり方で進めていくことが、デジタルマーケティング成功への近道です。

中小企業向けのデジタルマーケティング戦略

  • 中小企業のマーケティング課題

    • 予算が限られている
    • 人手不足
  • デジタルマーケの強み

    • 低コストで始められる
    • 自動化・効率化が可能

中小企業では、大企業と比べて、マーケティングに使える予算や人手、時間が限られていることが一般的です。しかし、デジタルマーケティングをうまく活用すれば、限られたリソース(人やお金、時間)を有効に使いながら、効率的にお客様へアプローチすることが可能です。

中小企業に効果的なデジタルマーケティング戦略の立て方

中小企業がデジタルマーケティングで成果を出すためには、なんとなく始めるのではなく、しっかりとした「戦略」を考えることが大切です。ここでは、その基本的な考え方をわかりやすくご紹介します。

ターゲット市場の明確化

まずは、「誰に向けて情報を発信するのか」をはっきりさせましょう。中小企業の場合、限られた時間やお金をムダにしないためにも、すべての人ではなく「自社の商品やサービスに興味を持ってくれそうな人」に絞ってアプローチすることが大切です。

たとえば、今のお客様にアンケートを取ってみたり、よく問い合わせをくれる業種を分析したりすることで、どんな人たちがターゲットなのかが見えてきます。そのうえで、「その人たちに届く言葉」や「興味を持ってもらえる情報」を発信していきましょう。

コスト効果の高いチャネルの選択

使える予算が限られている中小企業にとって、「費用対効果」がとても重要です。たとえば、お金をかけずに始めやすいSNSや、検索結果で上位に表示されるためのSEO対策などは、コストを抑えつつ効果が期待できる方法です。

また、すでに自社の商品を買ってくれたお客様に向けて、メールを使って情報を届ける「メールマーケティング」もおすすめです。リピーターにつながりやすく、長いお付き合いを作るのに役立ちます。

コンテンツマーケティングの活用

デジタルの世界では、「役に立つ情報」を発信することがとても大事です。たとえば、ブログで自社の強みを紹介したり、YouTubeで使い方を動画で見せたりすると、お客様の信頼を得やすくなります。

特に、専門的なノウハウや、お客様の悩みに答えるような内容は、「この会社は信頼できるな」と思ってもらえるきっかけになります。難しい言葉ではなく、ターゲットとなるお客様にとってわかりやすく、丁寧な情報発信を心がけましょう。

リソースの最適化と外部リソースの活用

中小企業では、社内の人手や時間が限られていることがよくあります。そのため、自分たちだけで全てをやろうとせず、「どこに力を入れるか」「どこを外部に任せるか」をうまく見極めることが大切です。たとえば、社内でお客様の声を集めたり、商品やサービスの魅力を言葉にするところまでは社内で行い、専門的な部分――たとえばWeb広告の運用やSEO対策など――はプロの業者やフリーランスにお願いする、という方法があります。

限られたリソースをうまく活かすことで、効率的かつ効果的にデジタルマーケティングを進めることができます。

成果の測定と改善

デジタルマーケティングは、「やって終わり」ではありません。取り組んだ後に、「どれくらい効果があったのか?」をしっかり振り返ることがとても大切です。

たとえば、Webサイトへのアクセス数、SNSの反応数、メールの開封率やクリック数などをチェックすることで、今のやり方がうまくいっているかどうかが分かります。

結果を見ながら、「ここはもっとこうした方が良い」「この内容は響かなかったかも」と改善を繰り返すことで、マーケティングの効果はどんどん高まっていきます。

デジタルマーケティング活用例

「CVで終わらせない」実践的な活用のしかた ~自動車販売の場合~

たとえば、ある自動車販売会社では、ディスプレイ広告やSNSなど複数のチャネルを活用して集客を行っていました。初期段階では「どのチャネルからCV(ここではフォームからの問い合わせ)が多く発生したか」に注目し、ディスプレイ広告やInstagramに重点的に広告費をかけていました。

Webマーケティングでわかること
(自動車販売のケース)

CV数を見ると、ディスプレイ広告やInstagramに効果があったと判断できる。

しかし実際には、CVを獲得してもその後の商談や契約に繋がらなかったケースも多く、期待したほどの成果にはつながっていなかったのです。

そこで、流入→CV→商談→契約→リピートまでのプロセス全体を可視化・分析するために、デジタルマーケティングの仕組みと支援ツール(MA・SFA・CRM)を導入しました。

  • MA(マーケティングオートメーション)を使って、流入後の見込み顧客に対して継続的にメールやコンテンツを配信し、商談につながる関係性を構築
  • SFA(営業支援ツール)で商談の進捗を一元管理し、営業活動の抜け漏れを防止
  • CRM(顧客管理ツール)により、契約後の顧客情報を蓄積・活用し、再提案やリピートに活かす

そしてさらに、これらのデータをもとにLTV分析(顧客生涯価値の把握)を行うことで、「どのチャネルから来た顧客が長期的な利益をもたらしているか」を明確に把握できるようになりました。

Webマーケティングと
デジタルマーケティングの比較
(自動車販売のケース)

このように、CVだけを見ていては見落としてしまう「本当に契約・リピートに結びつくチャネル」を見極めるには、CV後の動きも追えるデジタルマーケティングと支援ツール(MA・SFA・CRM)の活用が不可欠です。

たとえば、

  • 「どのチャネルから来た顧客が、実際に契約・リピートにつながったのか?」
  • 「LTVが高いのはどこから来た顧客か?」

といった観点での分析が可能になれば、限られた広告予算や営業リソースを本当に価値あるチャネルに集中させることができます。

これが、CVで終わらせない、本当に成果につながるマーケティング施策を打ち出すための、実践的なデジタルマーケティングの活用法です。

まとめ

デジタルマーケティングは、顧客との関係を深め、売上アップにつながる大切な手段です。本記事では、その基本から活用法、活用例までをご紹介しました。

導入することで、データに基づいた判断ができ、効率よくターゲットにアプローチできます。ただし、専門知識や安全対策も必要です。

成功するためには、まず自社の現状を把握し、目標を明確にし、目的や予算に合ったツールや手法を選ぶことが大切です。そして、必要に応じて専門家のサポートを活用することも効果的です。

フォスターでは、お客様との対話を通じて「目的」をしっかりとヒアリングし、それぞれの課題に応じたマーケティング施策をご提案しています。さらに、施策を実施して終わりではなく、結果をもとに改善策を見つけ、常にブラッシュアップを重ねていくことを大切にしています。

デジタルマーケティングは日々進化する分野です。最新の情報を取り入れながら、自社に合った形で柔軟に取り組むことが成功への近道です。

もし「何から始めればいいかわからない」と感じたら、どうぞお気軽にフォスターまでご相談ください。

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