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エンジニア採用が難しい理由とは?
エンジニア採用は多くの企業にとって深刻な課題となっています。IT市場の急速な拡大、エンジニアの働き方の多様化など、様々な要因が複雑に絡み合い、採用活動を困難にしています。ここでは、エンジニア採用が難航する具体的な理由を、データや市場動向を交えながら解説していきます。
IT市場の拡大…有効求人倍率から見るエンジニア需要
近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進やAI技術の発展などにより、IT市場は急速に拡大しています。経済産業省の調査によると、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足すると予測されており、エンジニアの需要はますます高まっています。

有効求人倍率を見ても、エンジニア職は他の職種に比べて高い水準で推移しており、エンジニアを含む情報処理・通信技術者の2025年5月新規有効求人倍率は3.13倍。企業間の人材獲得競争は激化の一途を辿っています。特に、AIやクラウド、セキュリティなどの高度な専門知識を持つエンジニアは、引く手あまたの状況です。
多様化するエンジニアの働き方

エンジニアの働き方は、正社員だけでなく、フリーランス、副業、リモートワークなど、多様化が進んでいます。
リモートワークの普及により、地方在住のエンジニアが都市部の企業で働くことも容易になりました。また、フリーランスや副業を選ぶエンジニアも増加傾向にあり、企業は従来の雇用形態に捉われない柔軟な働き方を提示することが求められています。
各社がエンジニア流出防止の対策をしている
エンジニアの人材不足の背景もあり、各企業は優秀なエンジニアの流出を防ぐために、様々な対策を講じています。たとえば、給与水準の見直し、福利厚生の充実、キャリアパスの明確化、働きやすい職場環境の整備などが挙げられます。

即戦力となる優秀な人材は、企業が手放さないため、転職市場に出てくることは稀です。そのため、高いコストをかけても、求める人材と出会うことは難しいのが現状です。
エンジニア採用に苦戦する企業の共通点
エンジニアの採用難の背景には、ここまで解説してきた「外部要因」の他に、企業が抱える「内部要因」も存在します。
エンジニアに刺さる魅力を伝えられていない
フォスターが行った転職に興味がある20代エンジニア向けのアンケートによると、現在の会社で不満に思っていることとして「スキルアップやキャリア成長の機会がない」や「職場環境が整っていない」という項目に多くの人が該当していました。
【転職時】エンジニアの興味
- スキルアップできる環境か?
- 開発環境は?
- 企業の技術力は?
この結果からもわかるように、エンジニアは、技術的な興味やキャリアアップへの意欲が強い傾向があります。そのため、企業の技術力や開発環境、スキルアップ支援制度などを具体的に提示することが重要です。
たとえば、
- 最新技術を用いた開発プロジェクトに携われる。
- 最新の開発支援ツール(IDE、バージョン管理システム、CI/CDツールなど)を導入している。
- 技術勉強会やハッカソン(限られた時間内でチームが協力してアイデアを形にする開発イベント)を定期的に開催し、エンジニア同士の交流を促進している。
- 資格取得支援制度が充実している。
など、エンジニアの知的好奇心を刺激する情報を積極的に発信しましょう。
もちろん、単にメリットだけを羅列すれば良いのではありません。自社が求める人材が、どういう環境を望んでいるのかを明確にし、そこに合わせて発信することが必要です。
また、企業のビジョンや事業内容に共感してもらうことも大切です。「自社の技術で社会に貢献したい」「革新的なサービスを開発したい」など、エンジニアがやりがいを感じられるメッセージを伝えましょう。
スキル評価が難しく、自社に必要な人材を選べない
エンジニアのスキルは、プログラミング言語の知識だけでなく、開発経験や実績、問題解決能力など、多岐にわたります。そのため、スキルを客観的に評価することが難しいと感じる採用担当者も多いのではないでしょうか。
スキル評価の精度を高めるためには、これまでの制作物を確認できるポートフォリオや、実際に書いたコードの質を確認できるGitHubのコードレビュー、実践的な課題に取り組んでもらう技術テストなどを活用することが有効です。また、現場のエンジニアに面接に参加してもらい、技術的な質問をしてもらうことも効果的です。
自社に必要な人材を明確化することも重要です。どのようなスキルを持つエンジニアが、どのような役割を担うのかを具体的に定義することで、採用基準が明確になり、ミスマッチを防ぐことができます。

市場の実態とミスマッチ?条件や採用基準が適正でない
エンジニアの採用市場は売り手市場。給料などの条件・待遇面では高い水準が求められています。エンジニア市場の実態を理解せず、自社の基準だけで求人条件を決めてしまうと、全く応募が来ない‥‥‥なんてことも。
かといって、必要以上の良い待遇を用意しなければいけないわけではありません。まずは、最新の技術トレンドや給与水準などを把握すること。自社の採用基準が市場の実態と合っているか定期的に見直すことが重要です。
条件だけでなく、求めるスキルなどの採用基準も重要です。
たとえば、経験豊富な即戦力人材ばかりを求めていては、採用の間口が狭くなり、競争率の高い市場では採用難易度が上がってしまいます。若手エンジニアや未経験者も積極的に採用し、育成していくという選択肢も検討しましょう。
地方企業ならではの採用課題とは
エンジニア採用において、地方企業は都市部との給与差という課題を抱えていることがあります。
ここで大切なのは、給料水準で都市部に無理に勝とうとするのではなく、「地方独自の強み」をアピールすることです。

たとえばワークライフバランスの実現です。
都市部では、高収入と引き換えに長時間労働の常態化や、通勤時間が長いという不満が見受けられます。これを逆手にとって、地方企業ではワークライフバランスの取れた働き方をアピールすることが有効です。現代の働き手は必ずしも高収入だけを求めているわけではなく、自分の時間を大切にする働き方や生き方を重視する人も増えています。
また、地域貢献への意識が高いエンジニアにとって、地方企業は魅力的な選択肢となり得ます。自社の技術が地域社会の発展に貢献しているという実感は、エンジニアのモチベーションを高め、「働きがい」に繋がります。
地方企業だからこそ提供できる独自の価値を明確にし、エンジニアの多様なニーズに応えることで、採用活動成功への道筋が開けます。
エンジニア採用を成功させるIndeed活用術
Indeedは世界最大級の利用者を誇る求人プラットフォームであり、採用において活用している企業の方も多いのではないでしょうか。
ここからは、「Indeed、使ってはいるけどなかなか成果が出ないんだよなあ…」という方に向けて、効果を高めるための具体的な採用戦略を紹介していきます。
まずはターゲット設定‥‥‥必須スキルの明確化
自社が求めるエンジニア像を明確にすることが最初のステップです。
| スキル | 必要なプログラミング言語、フレームワーク、開発経験などを具体的に洗い出す |
| 人物像 | 求める人物像(経験年数、性格・志向性、価値観など)を明確にする |
| 地方特性 | 地方企業の場合、U・Iターン希望者、ワークライフバランスを重視する人など、地域特性に合わせたターゲット設定も重要 |
この時、すでにターゲットは明確で、採用に苦戦しているようであれば、“スキル”に関しては「求める人材」と「採用できる人材」の両方を設定しましょう。
即戦力となる人材の獲得が難しいエンジニア採用市場。いくら求人情報が魅力的でも、ターゲットが市場にいなければ採用成功はありえません。自社で必要なスキルを身につけてもらい、育成することも視野に入れて、ターゲットを再考してみてください。
エンジニアが求める情報を的確に伝える求人の書き方
求人原稿は、エンジニアの視点に立って作成しましょう。
開発環境や使用言語などを明確に記載
ターゲット像を明確にしたら、そのターゲットに「自分ごとだ」と感じてもらえるような内容の記載が必要です。使用しているプログラミング言語、フレームワーク、開発ツールなどの情報を充実させて、ミスマッチを防ぎます。また、エンジニアが興味を持つような最新技術やトレンド技術を積極的に記載するとより良いでしょう。
【例】≪産業用ロボットアプリケーション開発エンジニアの場合≫
- 必須スキル
C言語C++を使用した設計開発経験 - 開発環境
C言語、C++、C#、ROS、Windows等
スキルアップ支援やキャリア成長
エンジニアは成長意欲が高く、転職先を選ぶ際も「スキルアップできる環境か」を重視する傾向があります。都市部は勉強会や技術交流の場が多く、成長機会が豊富と感じられやすいですが、地方企業にも魅力はあります。
たとえば、幅広い業務を経験できることで技術の全体像をつかみやすかったり、地域課題に直接貢献できるやりがいがあります。また、オンライン研修や資格取得支援など、成長を後押しする制度を整えることも可能です。
求人では、こうした支援制度やキャリアの広がりを具体的に記載し、「ここで働けば成長できる」と伝えることが重要です。
【例】
- 研修制度、資格取得支援制度、メンター制度など、具体的な支援内容を記載。
- 「最新技術に触れられる」、「上流工程に携われる」など、キャリアパスを明確に示す。
- 地域に根付いた企業であれば、「地域に貢献できる開発に携われる」などの地域貢献性を含めたキャリアアップをアピールする。
- 「担当領域が広く、企画から開発、納品まで幅広い業務に携わることができる」など、任される裁量が大きいことをアピールする。
給料や昇給制度
エンジニア採用では、給与や昇給制度といった条件面が応募数に直結します。
フォスターが20代の転職に興味があるエンジニアを対象に行ったアンケートでは、特に地方勤務のエンジニアに、給与や昇給制度への不満が多く見られました。一方で、希望年収は「300万~350万円未満」「400万~450万円未満」が上位となり、都市部ほど高年収を求めるわけではない層も一定数存在します。
これは、生活コストや通勤ストレスの少なさといった地方ならではのメリットが、給与面の条件をある程度補っているためと考えられます。とはいえ、限られた人材を複数の企業が取り合っている現状では、条件のわずかな差が応募数に大きく影響することもあります。
そのため、自社の給与水準が現在の市場感とズレていないか、定期的にIndeedなどの求人データや近隣他社の動向をチェックすることが大切です。
また、エンジニアは「今の給与」だけでなく、「どのようにキャリアを積めば、どれくらい年収が上がるのか」といった将来の成長イメージにも敏感です。たとえば、「〇年目で〇万円昇給した事例」や、「スキル習得に応じて役職や待遇が変わる制度」など、具体的なキャリアパスや昇給の仕組みを求人情報に明示すると、安心感と納得感が高まりやすくなります。
ワークライフバランス
都市部との給料差が課題になりがちな地方のエンジニア採用において、ワークライフバランスのアピールは都市部との差別化を図るのに有効です。
都市部では満員電車の通勤で疲弊感を感じたり、家賃相場や物価も高く、生活が厳しかったりといった問題を抱えている場合も。通勤ストレスが少なく、節約もできる地方での働き方は、生活に余裕を持って過ごすことができる点で大きな魅力となります。この魅力を、勤務時間、休日、待遇や福利厚生などに記載し、アピールすることが重要です。
【例】
- 残業時間、休日日数、有給休暇取得率などを具体的に記載する。
「当社は有給休暇取得率100%!先輩社員のAさんは、昨年は〇〇日間の有給休暇を取得し、家族と旅行を楽しんでいました。」など。 - 「リモートワーク可」、「フレックスタイム制度あり」など、柔軟な働き方をアピールする。
- 都市圏と比較して、通勤時間の短縮、自然豊かな職場環境、趣味や家族との時間を確保しやすい等をアピールする。
「東京から〇〇(地域)に転職した先輩社員Aさんは、以前より通勤時間が短くなった(往復2時間の短縮!)ということで、仕事終わりに家で自炊や晩酌を楽しんでいるようです。」など。
自社の求人を見つけてもらうコツ
Indeedは多くの企業が求人を掲載しているため、条件が似た求人の中に埋もれてしまい、なかなか見つけてもらえないことがあります。こうした状況を防ぐためには、いくつかの工夫が効果的です。
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求人内容の充実
求職者が知りたい情報をきちんと押さえ、わかりやすく、具体的に伝えることが基本です。仕事内容やスキル要件だけでなく、企業の技術力や開発環境、スキルアップ支援制度など、エンジニアが重視するポイントも丁寧に記載しましょう。
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キーワードの工夫
検索されやすい職種名やスキル、勤務地などを、求人票内に適切に含めることで表示されやすくなります。ターゲット層が使いそうな言葉を意識することがポイントです。
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定期的な更新
Indeedでは、新しく投稿・更新された求人が上位に表示されやすい傾向があります。月に1回程度、内容を見直して更新するだけでも効果があります。
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有料プランの活用
予算に余裕があれば、有料オプションを利用することで表示順位が上がり、より多くの求職者の目に留まりやすくなります。
求人の見つけやすさを高めるテクニックについて、さらにくわしく知りたい方は、以下の記事も参考になります。
まとめ
本記事では、地方企業におけるエンジニア採用の難しさと、Indeedを活用した採用成功の秘訣について解説しました。
IT市場の拡大や働き方の多様化により、採用競争は激化していますが、地方企業には都市部にはない魅力も存在します。ワークライフバランスの充実、地域貢献への意識等により、地方企業でも優秀なエンジニアを採用することは十分に可能です。
本記事で紹介したノウハウを参考に、自社の魅力を最大限にアピールし、エンジニア採用を成功に導いてください。
それでも効果的な求人方法が分からない場合は、お気軽にフォスターにご相談ください。企業の特色を理解し、応募増加のための施策を一緒に考えさせていただきます。
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